あきらめも肝心

完璧主義にはガタが来る

その1  その2  その3


 え〜と。・・・なんの話でしたっけ・・・??
・・・おお! そうでした!! 完璧主義のお話です!! (忘れるな〜〜・・・爆)

 さてさて。
 ここでは最初の予告通り、「完璧であることを『相手』に求める態度」について書いてみたいと思います。これは、上司が部下に「しっかり仕事しろよ!」 と求めるのとはちょっと違う話ですよ。もっと日常的な、プライベートな人間関係の中のお話。というか、親友とか、恋人、とか、 親子、とか、そんな、ホントに近い間柄の場合だと思います。

 さっきも書きましたが、人間関係って、もしも世界に人間が3人しか居なかったら、(それはそれでそれなりの苦労があるとして?) かなり単純でわかり易いものです。
 しかし、実際にはどうでしょう? 学校で出会う人もいれば、職場で出会う人、何かのサークルで出会う人もいます。 行きつけのお店やお医者さんと親しくなる場合もあるかもしれないし、道端で助けくれた人と親しくなる場合もあるかもしれません。とにかく、 普段普通に生活していれば、本当にたくさんの人々と知り合い親しくなると思うのです。

 また、人間関係は、ある程度の時間を要するものでもあります。おしゃべりしたり手紙を書いたり。それは、仕事とか勉強とか家事とか 趣味の教室とか、そういう様々な日常生活で使われる時間の合間を縫って繰り広げられるものです。当然、仕事重視の人が家族と過ごす時間を失ってしまったり、 受験勉強中の人が友達とあまり遊べなくなってしまったり、なんてことが起こってきます。

 わかりやすく説明するために、再び5人の世界を考えましょう。

 この5人のそれぞれには、上に挙げたような日常生活があります。その合間を縫って、楽しい交流もはかっているわけです。 そして、例えばAさんには、「A⇔B」「A⇔C」「A⇔D」「A⇔私」という4つの関係が生じています。

 さて。もしもこの図の中にいる「私」が「『相手』に求める」タイプの完璧主義者で、しかもAさんと恋人同士であり「自分はBさん・Cさん・Dさんとは仲良くしなくていいから、 Aさんとだけは100%親密な状態で居たい!」と思っているとしたら、という話をしましょう。そして更に、Aさんは、いつでも「みんなの期待に答えたい」 と思って頑張ってる、「『自分』に求める」タイプの完璧主義者だったとします。

 なにしろ完璧主義者ですし、恋人同士ですから、Aさんは「私」の気持ちを汲んで100%親密にしてあげたいと思うでしょう。 ですがAさんは、Bさん・Cさん・Dさんとの関係も100%良好に保ちたい人です。 で、実際のところ、1番最初に書いたように、「完璧であることを『自分』に求める」タイプの完璧主義は、 あまりにも極端に走ると、結局途中で息切れしてしまいます。
ですから、最初のうちは

のようにすべて100%だったAさんが、だんだん力尽きて

のような手抜き状態になるかもしれません。

 ここで大事なことは、Aさんが、「私」の意向を汲んで、最大限の努力をしていることです。ほかの友達(69%・75%・75%)に比べれば、 明らかに「私」(90%)との関係を大切にしています。ですから「私」は、Aさんがかなりいっぱいいっぱいになっていること、 これ以上頑張ると燃え尽き症候群になるかもしれないこと、それでも頑張って「私」を1番大切にしてくれていること、の方に、 目を向けなければいけないのです。

 では、もしここでも「私」がAさんに対して「完璧であることを求める態度」、つまり「『相手』に求める完璧主義」 を崩さなかったら、どうなるでしょう?  「私はAさんに100%を求めているのに、Aさんは90%しか与えてくれない!私のことなんてもぅどうでもいいのね!!」などと、文句を言った場合です。

 Aさんは、元来が「『自分』に求める」完璧主義者ですから、反省してまた「私」との関係を100%に戻そうとするかもしれません。その結果、燃え尽きて 病気になるかもしれませんね。あるいはついにブチ切れて「少しは相手のことも考えろ!」と叫び、恋人関係にピリオドを打ってしまうかもしれません。病気になるよりは その方が賢明でしょう。

 どちらにしても、やはり「私」の「『相手』に求める」完璧主義は、ここでガタが来て壊れてしまうのです。Aさんが病気になった場合も、「私」がAさんから振られた場合も、 どちらにしてもこのふたりの良好な恋人関係は終了するわけですから。

 以上は、たった今、私ありんこが適当に思いついた例え話です。かなり極端な内容にしてみました。でも、これに似た場面って、実はかなりよくあると思うんです。 そしてこの例え話で私ありんこが言いたかった1番大事なことは、この話に出て来た「私」が持っているような「『相手』に求める完璧主義」が、しょせんは無理難題の 夢物語であるということなのです。

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 もし、自分を大切に思って欲しい相手からメールの返事が来なくても、そこで「2人の人間関係は終わったのかも」なんて考えなくていいのです。 完璧な人間なんかいないのだから、仕事や対人関係やもろもろのことで、ついつい遅れてしまうのは当たり前のことです。 それはけっして、相手のことが「どうでも良い」とか、「嫌いになった」とかという意味ではありません。1度良好になった人間関係ならば、 こちらからよっぽどひどい仕打ちでもしない限り、それをわざわざシャットダウンなんてされないものです。

 「完璧な対応をしてもらえないと不安になる」という、『相手』に求める完璧主義・・・ついつい余計な心配をしてしまう気持ちも わからなくはないのですが、それよりもむしろ、 返事をくれない相手について「今はお仕事が充実してるんだな、きっと頑張っているんだな、」と、良い方向に考えてあげてください。どうしても待ちきれなくなったら、 同じメールをもう1度だけ送ってあげてみてください。単なる筆不精の場合も多いので、「もう待ちくたびれてるのよ」と、冗談交じりに言ってみてください。

 完璧を求めず、「あんまり放っておかないで欲しい」という気持ちさえしっかり伝えておけば、 今まで通りの良好な関係を、末永く続けることができるでしょう。